攻めのITを成功させるためには「経営者の確信」が必要不可欠

Posted 9 months ago by yoosee.
  uscompany business it

「攻めのIT」という単語を見かける。既存業務をITに置き換えるなどで効率化をはかるのみでなく、ITを軸として売上や開発・競争力などを強化していくことを「攻め」と呼んでいるようだ。

IT


米国では既に多くの企業が ERP や CRM などを始めとした IT システムの大規模な導入を行っており、日本よりも IT への投資が積極的であり、その分野も「攻め」に重点が置かれていると言われる。この違いはどこから来るのだろうか。

攻めのIT導入に必要な「経営陣の確信」

まず大きく違うのは IT への期待値だろう。米国では「ITが企業を変革すること」に疑問がない。周囲の企業が成功しており、その手段が確立しているのだから、それを導入することで成果が得られることについては、米国経営者にとっては特に疑問を抱く必要もない単なる事実であり、単に予算とやり方の問題である。日本企業とそのマーケットには未だそれがない。ないから確信を持ってITへの投資を決断できない。鶏と卵だ。

大規模なITの導入というのは実のところ「プロセス」「プラクティス」の導入と同義だ。業務プロセスを場合によっては根本から変革し、業界で先行している「うまくいくはずのやり方」に強制的に合わせさせるのがIT導入の意味である。つまりITを業務プロセスに合わせるのではなく、逆に業務プロセスをITにあわせて再構築するのだ。例えば「ITIL・ITSM準拠のITツールを導入する」ことで業務プロセスそのものをそうした業界のベストプラクティスに合わせてしまう。プロセスが主眼であり、ITはむしろ支援と強制力である。

つまりITの導入というのは得てして既存プロセスの破壊になる。それが故に、社内の反発は大きく、コストも決して無視できず、また現在動いているものを大きくいじるのだから業務が破綻しかねないリスクもある。まして日本企業のように、各担当部門が個別に最大限「努力」してしまう文化では、プロセスの破壊は努力の否定に見えかねず、反発は巨大なものになりうる。

これを乗り越えてITシステムを導入させるには、どうしても導入を先導する経営者が揺るぎない確信を持っていないといけない。予算をつけ、社内政治を整理し、反発する現場に導入を受け入れさせる事を「当然必要なこと」として自己正当化できている必要がある。

米国経営者の立ち位置とIT改革の容易さ

米国の経営層は基本的に「経営職(Executive)」という職種である。彼らは会社経営という分野の専門職であり、その方面の専門スキルを持って経営職ポジションに転職し、経営という業務を遂行する。キャリアパスの回で少し書いたように「スキルレベルを上げてクラスチェンジ」ルールは幹部についても同様で、米国企業の幹部、VP 以上や CxO 職は言うならば「企業経営 Lv.3」や「組織運営 Lv.4」などの経営スキル、加えて CIO などの専門経営職は「IT戦略 Lv.3」「ITシステム導入 Lv.2」などの分野専門スキルを持っている。

米国でこうした経営層が新たに雇われた場合になにを期待されているか。例えばよくある例では「既存の問題によって前の幹部が解雇された。新しい人にはそれを解決して欲しい」ので、早々に新しいアクションが求められる。実際こちらの幹部は採用されるとまず前任者の否定から始めることが多い。「あいつのやり方じゃダメだ。俺が正しいやり方を見せてやる」というやつである。

給与の高い彼らは、幹部として雇われてから比較的短期に目に見える成果を上げる必要があり、またその対象も事業部門なり全社なりと広い。何もないところから手っ取り早く何かしらの成果を出す方法がそこらにたくさん転がっているわけでもなく、ゼロから全てを作り上げる時間もコストもない中で、多くのプロ経営者が定石として使うのがITシステムの更新なのだ。

例えば ITIL であったり ERP であったりという業界のベストプラクティスと関連したものは「既存の問題の認識とその解決」がテンプレートとなったものだ。導入手法もある程度確立しており、世間に事例も多く、周囲にも説明がしやすい。特に CIO などは「前職で○○システムを導入することで業務プロセスを改革しコストをX%カット、○○の期間をXX日短縮」のような話が彼らの履歴書に記載される。またそうした定石は、懇意にしている特定のITソリューション導入会社と組んで行うことも多いため、それも含めて手札にできる。そんなわけで米国の会社では「ITシステムによるビジネスプロセス改革」が銀の弾丸として頻繁に持ち込まれるのである。

日本企業でのITシステム導入の難しさ

そもそもの「社内IT」という仕事自体が政治の固まりみたいなものである。というのもITは本質的に社内の業務プロセスをサポートするものであるが故に、その変更は必ず社内の何処かの部署に業務の変更をもたらすわけで、当然ながら変化への反発と逆に推進したい側の意向がぶつかる社内政治の戦場と化すわけだ。

特に日本企業の現場は与えられた状況に我慢し、その条件下で最大限の努力と局所最適化を行ってしまっていることが多く、全体効率のためにプロセスを変更すると言われても「俺達の努力を否定するのか」という感情論・政治論になりやすい。それは米国ですらそうで、ITマネージャーに「政治的にスタッフを守る」「ITチームの正しさをきちんと裏打ちする」役割が求められるという事実が逆説的にそれを裏付ける。

米国の場合はそれでも基本的にはトップダウン組織であることが多いので、CEOやCIO といった経営トップがスポンサーになって導入自体は決断されるし、それに乗れない人は最終的には解雇されることもあるので、力ずくでも意思決定はされる。

一方の日本企業では人事の都合上、外部から明示的にプロを雇える米国と違って経営陣に必ずしもITのプロがいるわけでもなく、それ故の問題としてまず経営陣の理解を得るのに果てしない説明を要し、経営層のスポンサーを得てもトップダウンが弱いため各部を説得して社内合意を得ることにものすごいレベルの政治力が必要になり、その上で導入時には半端なく強い現場をどう説得して進めるかという超人レベルの精神力が必要になる。

人間、周りから強く否定されるような話はどうしたって進めにくいものだし、往々にして妥協案を出したくなるものだ。しかしITシステムの導入目的が既存プロセスの改革であり、そのプロセスはITシステムが規定している場合、そこで妥協してしまうと業務プロセスは改善されず、ITシステムは膨大なカスタマイズを抱えることになる。この辺が日本でIT導入がうまく進みにくい原因のひとつだと思う。

ここを押し切るには、推進する幹部自身がIT導入の正しさを確信している必要がある。そしてその確信は多くの場合、プロとしての膨大な専門知識と過去の成功が支える。組織構造的にどちらも得るのが難しく、現場の反発もより大きい日本企業の経営者がIT導入を確信して進めるのが難しい所以ではなかろうか。

 

Zirconia - Pebble 用ウォッチフェイスをデジタル時計でもうひとつ書いた

Posted 9 months ago by yoosee.
  pebble

先日書いた Obsidian Watchface と同等機能のもので Zirconia という名前でデジタル時計のウォッチフェイスをひとつ書いた。例によって時間と日付に加えて天気・気温と歩数の表示付き。温度の C/F 切り替えや色の設定もつけている。

Zirconia - Pebble Watchface

先週末に Obsidian の方も天気の取得先を OpenWeatherMap.org から Weather.gov に変えて、そのタイミングで JavaScript 周りも幾つか修正したので、その勢いでデジタル時計も作ってみるかと思い立った。まあ機能はほぼコピペなので、デジタル時計の表示部分でフォントと配置を選ぶくらいしかやることはなかった。本当はもう少しコードを整理すべきなので、それはまた気が向いた時に。

天気の供給元をわざわざ変えたのは OpenWeatherMap があまりに正確性に欠けたから。なぜ普通に拾える NOAA より悪いのか…。WUnderground なども実装はしたものの、API が基本有料サービスなので github に API Key 入れたくないし対処するのも面倒だなということで止めた。本当は Pebble firmware 3.13 から追加された公式の Weather App がさっさと内部APIを公開してくれればよいのだよ…。

なおちょうど公開しようとパッケージを作ったタイミングで SDK4.0 がリリースされたお陰で、特に新しい機能を使っていないのに Pebble 側も Firmware 4.0 に上げないと使えなくなったというのがなんというか不幸な感じ。しかも SDK4 には Pebble 2 “Diorite” 対応はあるけど Pebble Time 2 “Emery” 対応はないのは半端な感がある。

 

Facebook Comment Plugin と Rails Turbolinks の共存

Posted 9 months ago by yoosee.
  textfi rails

このブログでは Facebook Comment Plugin を使っているのだけど、割と頻繁にそれが表示されないということが起こっていた。少し調べるとどうも Rails4 の Turbolinks の影響らしい。Turbolinks は Rails でページ間遷移をした時にコンテンツを差分だけ部分更新することで読み込みをかなり早くするというありがたいものなのだが、その性質上、document.ready や on.(“page:load”), (“page:change”) などのイベントが食われてしまう。

fb-comment

対策としては jquery と turbolinks を共存させるための jquery-turbolinks というものがあるので取り敢えずそれを追加する。Gemfile に以下を追加。

gem 'jquery-turbolinks'

app/assets/javascripts/application.js に以下を追加。なお jquery の直後、turbolinks の手前に入れる必要がある。

//= require jquery
//= require jquery.turbolinks
...
//= require turbolinks
...

Google Site Search などはこれで直ったのだが、FB Comment Plugin ないし FB SDK の場合は明にイベントを読んであげないといけないらしい。 Turbolinks Compatibility with FacebookRails / Turbolinks を使いつつもフェイスブックの Page Plugin を設置する | Workabroad.jp を参考に、app/assets/javascripts/social.js.coffee を追加。当然 application.js には対応する //= require social.js を加えておく。

$ ->
  loadFacebookSDK()
  bindFacebookEvents() unless window.fbEventsBound
        console.log 'everytime'

bindFacebookEvents = ->
  $(document)
    .on('page:fetch', saveFacebookRoot)
    .on('page:change', restoreFacebookRoot)
    .on('page:load', ->
      FB?.XFBML.parse()
    )
  @fbEventsBound = true

saveFacebookRoot = ->
  if $('#fb-root').length
    @fbRoot = $('#fb-root').detach()

restoreFacebookRoot = ->
  if @fbRoot?
    if $('#fb-root').length
    @fbRoot = $('#fb-root').detach()

restoreFacebookRoot = ->
  if @fbRoot?
    if $('#fb-root').length
      $('#fb-root').replaceWith @fbRoot
    else
      $('body').append @fbRoot

loadFacebookSDK = ->
  window.fbAsyncInit = initializeFacebookSDK
  $.getScript("//connect.facebook.net/ja_JP/sdk.js#xfbml=1")

initializeFacebookSDK = ->
  FB.init
    version : 'v2.7'
    appId  : '1721451128113160'
    status : true
    cookie : true
    xfbml  : true

FB Comment Plugin で記載するように言われる下記は script 部分を全て消去。当該処理は上記にあるので。

<div id="fb-root"></div>
<script>
...
</script>

なお Facebook SDK and rails 4 Turbolinks - Stack Overflow の方法だとうまくいかなかった。document.ready や page:change, page:load 時に FB.init を呼ぶという動作は実質同じなはずなんだけど…。

 

日本の文房具はいつ見ても面白いものばかり

Posted 10 months ago by yoosee.
  edc stationary

日本に戻った時にほぼ必ず寄る店がある。他の在外邦人にも同じ人がいそうだが、それは東急ハンズであり、特に文房具コーナー。時間が許せば鳩居堂、ITOYA あたりも一回りする。だいたい年に1,2回程度日本へ帰国しているが、その度になにかしら新しい文房具が出ているのを見るとちょっと感動する。

単なるボールペンにしたところで、書き味の滑らかさを追求した JetStream は米国人におみやげに頼まれるほど素晴らしい筆記体験であり、遂には米国のスーパーにも普通に並ぶまでに普及した。私も他メーカーのボールペンの替芯に JetStream を入れて使うなんてこともしている。

個人的には使わないが、ここ数年はこすると消えるフリクションボールペンが新しいジャンルを切り開いて盛り上がっている。筆圧によって線の太さを変えられる水性ボールペン uni-ball Air というのもあって、これはインクが滲んで実用にはちょっと難しいのだけど、ハネトメがペンで表現できる書き味はボールペンと万年筆の間くらいの面白さがある。

ここ何年かはシャープペンシルの進化もすごい。書いていると自動的に芯が回転して常に尖った面で文字を書けるクルトガが出たと思ったら、斜めの圧力も逃がすことでほぼ芯が折れずに書けるデルガードなんてものも出ている。元々日本のシャープペンは海外のそれに比べて芯の質が良いのでそんなに折れないのだが、それをさらにメカニカルに折れなくする機構を組み込んだり、「いつでも尖ったほうで書けるよ!」なんて機能を盛り込むなんて言うのは日本らしい技術の使い方だなあと思う。また併せて買ったペン型消しゴム は前からあるのだろうが地味に便利である。なにより日本の消しゴムはよく消える。

Kokuyo SAXA

今回ウキウキしながら買ったのはベルヌーイカーブで切れ味 3倍、チタンコーティングで100万回使っても切れ味が落ちず使えるハサミである。たかがハサミされどハサミ、確かにこれは前に持っていた普通のハサミと比べたら切る時の力のいらなさ加減が面白いほどだし、チタンコーティングのお陰かガムテープ等粘着質なものを切っても刃がべたつくこともあまりない。しかし100万回て。ついでにキッチン用洗えるチタンハサミも買ってしまったが、キッチンハサミは確かによく錆びるので、錆びずに水洗いできるだけでも大変ありがたい。

他に最近買ったものだと立ててペンスタンドになるペンケース黒いので裏に書いた文字が透けてじゃまにならない下敷き押すと真ん中のゴムが接地して滑らなくなる定規 、資料を打ち込みする時に便利なカール クリップスタンドなど、よくまあいろいろと思いつくものだ。

糊ですら進歩を続けていて、ペン型でピンポイントの糊付けができるアプアピット 液体ペンのりや、手を汚さずに気軽に封をしたり貼り付けをしたりするのに使えるテープのり ドットライナーなどが出てきている。のりもこれくらい気軽に使えると、セロテープを使うより便利なことも多いので、利用シーンを結構変えてくれる。

まあ全てが全て素晴らしいというわけではなく、例えば定規はコンセプトは面白いのだけど、押した際にゴムの伸縮の分だけ定規の場所が動くので「ずれないとはなんだ」とか微妙な点はあるのだが、そうは言っても1つ数百円からせいぜい千円程度でこんな面白いものが手にはいり、行く度になにか新しいものが出ているというのは、ほんとに日本人というのはこうしたこまごましたものになにかしら工夫を続けないで入られない国民性なのだなあと、その情熱を愛してやまないのである。

 

ポケットプライツール TT PockeTTools Chopper

Posted 10 months ago by yoosee.
  edc keychain

さてEDCといえばプライ(Pry)が欠かせない。プライとは写真のように先端が平べったくなっていてテコの原理で釘を抜いたりペイント缶の蓋を開けたりするもので、なぜこれが欠かせないのかと言われるとよく分からない。よく分からないが例によってEDC Forumではポケットサイズのプライツールの写真が山のように見つかる。まあ実際、何かに差し込んでこじ開けるツールというのは実生活でも意外と必要なシーンがあるものである。いやほんと。

TT PoketTTools Chopper

フォーラムなどをさすらっていて評判が良かった TT PockeTTools の Chopper だが、しばらく売り切れになっていたのが先日ふと見たら在庫有りになっていたので慌てて1つ確保した。まあこれ $45 と決して安くはなかったのだが、手元に届いた現物を見て後悔はない。

TT PockeTTools LLC - Pocket and Keychain Tools: Pocket Tools

これは例によって(そう例によってだが)チタン製である。チタンは錆びず、丈夫であり、なにより同じ強度・大きさで作ると他の金属に比べてかなり軽い。鉄の同サイズと比べて半分強の重さで、見た目に反して持った感じはかなり軽い。そうした理由でチタン製品はポケットツールの材料によく使われるのだが、もちろんチタン製という響きが格好良いからという理由は外せない。

このツールは釘抜きやマイナスドライバーを兼ねるプライ、栓抜き、ボルトレンチが付いている。またプライの先端が切り欠き状に多少だが鋭利になっていて、いわゆるボックスオープナーとしてストレス無く使える。指を切ったりするような鋭さではないので持ち歩いて怪我をするような心配はない。

コンパクトなポケットツールサイズだが、真ん中辺りに付いている凹みのカーブがなかなかうまく指にフィットしてホールドしやすい。またツール自体にそこそこの厚みがあるので握って使うのにストレスが無い。ちょっとした差異なのだが、ポケットツールはこういう少しの差が日常の使い勝手を大きく決めるもので、これはその点で大変よく出来ている。

なお普通に売っているミニプライは1つがせいぜい $10 / 1000円前後のものなので、ついちょこちょこ増えてしまう。今の手持ちだと Chopper 以外はこんな感じだ。もっとあるかも。

Pry Tools

写真は左から以下のとおり。プライは明らかに刃物ではないので、その辺が厳しい日本でも持ち歩きは大丈夫だろう。

どれも値段なりによく出来ているが、強いて選べば Leatherman の Brewzer だろうか。これは他に比べても小さくてフラットなデザインなのでキーチェインなどにつけても邪魔にならず、Leatherman 製だけあって作りも良い。その分他より少し高めだが。True Utility のものは他よりかなり大きいが、いろいろな機能を無理やり詰め込んでいる感が面白い。特に回転するドライバー部分とか。

なおこの業界(?)でプライといえば Atwood Knife and Tool の話題は外せないのだが、いかんせん、この Atwood というクラフトマンは数量限定にも程がある生産量であり、手に入れるには毎日ブログをチェックして欲しいアイテムが登場するのを待つしか無く、またそれも一番安いもので $70 くらいからと結構高価である。いつか手に入れてみたいものではあるが。