米国人と働くときに覚えておいた方がいい心がけ。米国企業で9年ほど働いてその前後も米国人とお仕事している経験に基づいてはいるが、もちろん個人的な見解です。
褒めろ!
とりあえず大げさなくらい褒めるのが基本。ちょっとした依頼へ対応してくれたくらいでも Great, Cool, Wonderful, Awesome, Amazing, Marvelous なんて単語を日常的に使う。Perfect は誉め言葉であって本当にそれが「完璧」かどうかは別問題だ。
まあ、正直米国人もこうした単語は「本当に素晴らしい!」とまでの意味ではなく単なる投げかけの挨拶として使うことが多い。本当にきちんと褒めたいときは「君のやったこのアクションはこういう結果に繋がって誰が喜んでいて素晴らしい!」などのように具体的に褒めるべし。ちょっとしたギフト、例えばスタバの$10チケットとメッセージカードを贈るなんてのも効果が高い。
日本人は得てしてプロジェクトが成功しても直後に「反省会」などと言い出し、「失敗した点・改善できる点」などをレビューしようとする。米国でも例えば Retrospective のように「振り返り」会はあってもいいが、基本はたとえトラブルシューティングの事後レポートであったとしても「成功した点」「良かった点」を必ず最初に共有するものだ。褒めよう。
褒めて伸ばすのがアメリカ人の基本の基本。褒めたからと言って仕事内容を全て肯定したということにもならない。まず褒めろ。
謝るな!
日本人が英語を話すと大変気軽に I’m sorry を使う。特に相手に無理を聞いてもらった時に I’m sorry と言われると「あれ、俺は謝られるようなことをさせられたのか?」と思ってしまう。こういう際は Thank you や I appreciated it など「ごめんなさい」ではなく「ありがとう」と言おう。
米国人も別に謝らないわけではないが、そもそも日本で言う「申し訳ないんだけど」的なニュアンスは日常会話はともかく仕事にはあまりないので、例えば I’m sorry but … などの代わりに I appreciate if you could … や It’s great helpful if … などを使うのがお薦め。「すみません」と言いたいにしても、せめて Excuse me を使おう。
なお本当に謝らないといけない時、例えば道を歩いていてよそ見をして他人を突き飛ばしてしまった(特にそれが子供やお年寄りだった)、みたいな際には大げさなくらいに I’m really sorry… と言うのも米国人なので、「米国人は絶対に謝らない」みたいな誤解もしないように。基本的には謝らないのではなく場合によって使う単語が違うんである。
反論は認めてからだ!
完全に喧嘩になっているならともかく、普通の話し合いでは相手の話は相手の立場からの話としていったん認める。認めたうえで「俺の観点は違う」という説明をする。I could understand what you’re saying, however, from my point of view, などのように伝えるのもあり。自分の意見を言うのに相手の意見を否定する必要は必ずしもない。「お前の言っていることは分かるがそれだと俺は困るんだ」で十分だ。
なお米国人は割と気楽に I don’t know を使う。え、それお前知らないって言っちゃっていいのかよ、みたいな話でも I don’t know と平気で言ってくるのはいいんだか悪いんだかという気分にはなるが、知らないものを知っているというよりはよい気がする。
上から落とせ!
米国の仕事では上司から部下への強制力はかなり強く、ほぼ軍隊のような指揮命令系統になっていることが多い。これは多くの米国企業では上司が部下を雇用して評価するという強烈な人事権を持つことに恐らく由来する。
それもあり、外部とのやり取りなどで判断が必要なことは Manager 以上のレベルが行うことが多い。なので現場の担当者とどれだけ話をして詰めた気になっていても、上司に話が通っていないとそこで話が止まる。仕事をするときには、誰がどこまでの権限を持っているかを理解して、適切な「上」から話を落とすことが必要になる。
この上下関係というのは米国企業では本当に厳しい(もちろんスタートアップみたいなカルチャーだとまた違ったりもするが)。なので、上司が「これをやってみるべきだと思う」などと言ってしまうとそれが馬鹿げた話だとしても部下が淡々と従ってしまったりするし、この場合に責任を取るのは部下ではなく「命令をした上司」だ。上の立場の人が思い付きを話すときには It’s just my idea and don’t have to follow exactly what I’d say, but … のような前をしないと危ないし、前置きをしても結構危ない。気を付けるべし。
また米国人は「権限を持たずに他人の代弁をすること」にも大変気を遣う。日本人だと「多分XXXってことだと思いますよ」などと他人の話を気軽にしたりするが、米国人が話すときには I don’t want to speak on behalf of him, but I just think he might … のように「いや俺は彼の代わりの立ち位置で話すことはしたくないけど、あえて推測として言うならばこういうことじゃないかと思うよ」くらいの前置きをする。
とまれこんなところか。よろしくご査収ください。