Surface book レビュー
仕事用に Surface book を使い始めたので軽くレビューする。シンプルかつシルバーを基軸にしたデザインは剛性も高く高級感があり、見た目には周りの人からの評判もいい。重量が1.5㎏強と今どきのモバイルラップトップとしては重いが、タブレット部の分離やペンの利用などでユースケースが色々とあり、使い勝手は個性的で面白い。
包括的なレビューは既に様々なサイトにあるだろうから、ここでは個人的に気に入った点や気になった問題などを記載しておく。全般的には個性含めて満足はしている。
デザイン・キーボード・インターフェイス
本体はほぼすべてがシルバーの金属仕立てですっきりしたデザインだ。キーボードは十分に広いキーピッチとラップトップにしてはそこそこのキーストロークがあり、キータイプでは特にストレスを感じない。英語キーボードモデルがないのが個人的には辛いところだが。なお本体はディスプレイ側なので、CPU利用率が上がってもキーボードやキーレスとは熱くならない。金属製なこともあってむしろ常にひんやりしている。
外部インターフェイスはドックアダプタにもなるマグネット着式の電源コネクタ、USB x2、SDスロット、mini DisplayPort という構成。新モデルの構成を見ても何故か USB-C / Thunderbold 3 は搭載されていない。Microsoft のポリシーなのだろうか。
性能
GPU非搭載で Intel i5 の機種を買ったが、オフィス仕事に使う分には特に問題は感じない。とは言え SSD 128GB と RAM 8GB は仮想マシンを走らせたりすると足りないので、GPUの有無を含めて上位構成機種を買ったほうがストレスは無いだろう。しかしこの手のラップトップは最上位構成に近いものでないとRAM 16GB搭載がないというのが辛いところ。CPUよりRAMが欲しい。
サイズと重量
大きな特徴のひとつである、分離可能なディスプレイによるタブレットモード。ディスプレイ側が本体であり、キーボード側は追加バッテリーや各種外部端子、モデルによってGPUが搭載されているのみ。そのせいもあって重量バランスは普通のラップトップとは違い、ディスプレイ側がかなり重い。本体サイズと重量は以下。
- タブレットのみ
- 重量:726g
- 寸法:312.3×220.2×7.7mm
- キーボード一体時
- 重量:1,515g(GPUなし)/1,579g(GPUあり)
- 寸法:312.3×232.1×13~22.8mm
重量1.5kgは今どきのモバイルラップトップとしては少々重く、サイズも13インチを超える程度に大きめで、後述するようにヒンジ部が膨らんでいるので多少かさばるため、持ち歩きがメインならば別の選択肢もあるかとは思う。
キーボード側とディスプレイ側が大体同じくらいの重さになっていて、普通のラップトップとは重量バランスがかなり違う。キーレスト部分を持ち上げようとすると、おっ、と思うくらい重く感じる。とはいえ膝の上において使うときなどでも重量バランスが画面側に倒れるなどはないので、使い勝手自体は普通。
タブレットのみだと 7.7㎜ なのでまあまあの薄さだが、Surface book の謎デザインである丸く膨らんだヒンジ部があるおかげで、畳んだ時のサイズが薄い側は13㎜なのに厚いヒンジ側は22.8㎜もある。オフィスの中を持って歩く程度なら丸くて厚みのあるヒンジはむしろ持ちやすいが、外出時の持ち歩きには少々気になる重さとデザインではある。
ディスプレイとタブレットモードとSurface Pen
ディスプレイ解像度は3000x2000と、高解像度だがラップトップとしては変則的。3:2のアスペクト比はA4など印刷物の √2:1 ~ 2.82:2 に近いので、書類などを表示させると無駄な余白が少ない分だけ読みやすい。当然ながらタッチスクリーン。本体からの切り離しはタスクバー上のアイコンかキーボードの専用ボタン長押しで行う。着脱は容易ながら、取り付けた際のぐらつきや不安定感は感じない。
手書き入力やスケッチのために付属する Surface Pen は磁石で本体の横に貼り付けておくことができるので、ペンと一緒に手軽に持ち歩いてふとした思いつきを手書きできるのはなかなか快適だ。もっともそれなりに強力とは言え磁石なので外出中などに油断すると外れて無くしそうな不安が少々残る。
画面を切り離したタブレット利用は、画面を手元に持って資料を読んだり、資料を読みながらペンで手書きの注釈を入れたり、ペンで落書きをしたりと閲覧やペン書きをするときに使いやすい。ノートを手元に持って読み書きする感じになる。ペンの書き心地も描画の追従がそこそこ早いので特にストレスは感じないし、ペンのノックを2度クリックするとメモモードが立ち上がるなど、手書きの気軽さをうまく取り入れていると思う。
なお仕事用なので試していないが、画面が大きめなのとアスペクト比が書籍向きなので、Kindle などで本や雑誌を読んだりするのにも向きそうだ。
Surface dock と外部機器との接続
デスクではSurface dockと繋げて使っており、DisplayPort 経由で外部ディスプレイのASUS PB287Qを繋ぎ、問題なく4K出力できている。USB経由でキーボードなども繋げている。
Dock と本体の接続はマグネット付き端子をペタッと付けるだけなので簡単で、ケーブル一本の接続で電力と外部ディスプレイ、USBキーボードの接続まで完結するのはかなり便利。
Thunderbold 3ないしUSB-Cを搭載した機種でも同じようなことができるが、現状必須な電力ワンケーブルのみで全ての接続が終わる仕組みは利便性の点では素晴らしいと思う。まあ過去のDellラップトップでもガチャっとはめ込む背面ドックで実現していたことではあるが、マグネット接続の電源ケーブルだけでOKなのはそれと比べても手軽感があってよい。
顔認識
Surface book以前にWindowsの機能だと思うが、セットアップ時にフェイスカメラで顔写真を撮影することで顔認識によるログインができる。PINやパスワードを打ち込まずに画面の前に顔があるだけでログインされるのはストレスなく快適だが、ただこれ写真などで代替できてしまったりはしないのだろうか。流石にそこまで脆弱ではないと信じたいが。
癖のある点
タブレット側にインターフェイスがほとんどない
切り離したタブレット側にはUSBやDisplayなどの拡張スロットは全くない。電源ボタンとボリュームキーのみ。外部機器とつなぐ際はBluetooth接続のものを選べば切り離し時も継続して使うことができるわけだが、その他の、例えば外部ディスプレイやUSBキーボードにつなぐなどができない。
ただキーボードとタブレットの接続端子は充電・Dock接続端子と同一なので、Dockを用意しておけばUSBやDispkayポートへ拡張することはできる。タブレットとのケーブル接続は持ち上げたりすると不安定なのでどこかにおいて使う感じになると思う。Dockも安くないので手軽に使えるソリューションかといわれると微妙だが、外部ディスプレイの利用を含めてタブレット部のみを持ち歩いた際でも選択肢があるのは良い。
SDカードスロットでディスク容量を拡張した場合の注意点
SSD搭載ラップトップによくあることとしてディスク容量が不足しがちなので、日常使わないSDカードスロットに BaseQi iSDA 高精度 アルミニウム製 MicroSD カード アダプター (Microsoft Surface book 13.5") を入れて microSD で容量拡大してみたが、このSDスロットはキーボード側にあるため、タブレット分離させた際に本体から取り残される。
単にそうした使い方が想定されていないだけなのだろうが、そうして使ってしまっている身からするとファイルの置き方に少し頭を使うことになるのがちょっと厄介ではある。
キーレストのエッジに磁石が入っている
この形状で上蓋をきちんと閉じた状態にするための都合なのだと思うが、キーレストのエッジ部分に磁石が入っているようだ。だからなんだという話なのだが、普段使っている Pebble Time Round のミラネーゼループ腕時計バンド の磁石部分がくっつくのが地味に厄介ではある。
利用中のトラブルと解決
Dock経由のDisplayPort接続で画面が表示されない問題がでた
利用開始当初、Dock経由のディスプレイ接続時に画面がディスプレイ側に出力されない事が多々ありストレスをためていた。ディスプレイ自体は対応機種だったので何が悪いのかと思ったが、公式の Surface ドックおよび Surface ドッキング ステーションのトラブルシューティング に従い Microsoft Surface Dock Updater (Surface) からDock自体のファームウェアをアップデートしたら問題の発生はかなり軽減した。
Bluetooth Mouseを接続・切断して使っていたら動かなくなった
席にいるときは Bluetooth Mouse を使っており、打ち合わせや外出で離席して戻ってくるとマウスが全く反応しなくなりBluetoothデバイスを削除して再ペアリングしてもマウスとして認識されないという問題が出た。結局これはどうやらSurfaceではなくWindows 10の高速スタートアップ機能の一般的な問題だったらしく、当該機能を無効化したら解決した。
このあたりの問題はそのままなら相当ストレスになっていたと思うが無事に解決できたので現状特にそうした問題はなく使えているし、使い勝手自体にはなかなか満足している。自宅で使っているXPS13が正統派モバイルラップトップの一つの完成形だとすれば、Surface book は次世代ラップトップへの可能性を示しているのではないかと思う。