サマータイム(DST)に関する個人的な経験と好き嫌いの話

Posted over 6 years ago by yoosee.
  social dst life

別記事で一般的に認識されるサマータイムの社会影響についてまとめてみたが、じゃあ個人としてはどうなのかという話を少し書いてみる。結論としては、夜が明るいのはたぶん皆が思っている以上に嬉しいことが多いと感じている。

実生活における影響(個人的な体験)

私個人は2017年まで米国フロリダのマイアミ付近の街に在住していて、サマータイム・DST は何年も経験している。最初に書いておくが、個人的にはDST導入推奨派だ。夕方から夜の入り口が明るいと、屋外での活動が問題なく出来るので好きだった。米国の場合はそもそも暗い屋外は安全面から出歩きを控える必要があるという背景もあるのだが。

DST


DST には(もちろん)良いところがある

DST中は夜も屋外が明るく、フロリダの 8月だと大体21時くらいまで外が明るいし、9月後半になっても20時台までは明るい。在住当時だと仕事帰りや夕食後に Ingress や Pokemon Go をしたり、夕食を屋外席のレストランで食べたり、(ビーチが近い街だったので)夕方のビーチを散策したりと、なかなか有効に活用できていたやに思う。あとアメリカ人的には夕食に裏庭でBBQをするという大変重要なイベントの助けにもなる。

フロリダ東海岸 6月29日午後7時14分のビーチ

これは6月末だが、こんな感じで夜7時を過ぎたビーチがまだまだ明るい。ここから1時間くらいは明るいので散歩などが気軽にできる。

またDST入りのあたりは朝が暗くなる。具体的には住んでいた辺りだと朝6時には日が昇っていたのが朝7時に日が昇るようになる。個人的には外の明るさに邪魔されずに安眠できるのはありがたかった。

日本での導入を考えると、8月の東京は日没が18時半前後、日の出は5時前後だが、これが日の出6時、日の入り19時半になれば夜にやれることが増えそうに思える。まして 9月に入るとあっという間に日の入りが17時台になってしまう一方で日の出はまだ5時台と言う(個人的な感覚では)アンバランスな状態なので、日の入りが 18時台になると屋外でやれることも増えるんじゃないかと思っている。

ちなみにフロリダは Permanent DST 、つまりDSTの切り替えなしに1年中DSTにすることを議会で可決する(米国連邦法の制約で実施はされていない)くらいにDSTに前向きな州であったことも、個人的にDSTに前向きな背景になっているのかもしれない。

なおフロリダ半島は標準時であるEST (Eastern Standard Time) の基準経度 75° に対して 80° から 85° くらいの位置である。南北に長い州だが住んでいた場所は北緯25度くらいの場所で、大体沖縄と同じくらいの緯度だった。

DSTの切り替え日と(個人的な)生活への影響

米国でも批判されがちなのはDST切り替えのタイミングでのコストで、時差の調整という人間の生理リズム的な問題もあれば、単純に時計をあわせ直すのが手間と言う理由もある。

現在の米国ではDSTの切り替え日は3月の第二日曜及び11月の第一日曜と決まっている。時計が変わる日は事前に会社でも通知が出たりSNSやニュースでも流れたりするが、それでも結構忘れていて、ちょうど秋のDST終了時に旅行をしていて朝起きてもレストランが開いておらずようやくDSTに気づくなどもあった。

仕事でいうと米国内ならば一部を除いて同じ日に時計が一斉に変わるので、ミーティングの時間などに影響はないが、日本や欧州との打ち合わせが1時間ずれたり、また南米だとそもそもDSTのタイミングが逆(米国の夏はブラジルの冬)という事もあって時差を考慮してミーティングを調整しなおすのは多少面倒だった記憶はある。

最近の時計は自動時刻合わせ機能があるものが多く、スマホPCはもちろん、家の時計も電波時計は自動的に変更されるし、腕時計も電波時計搭載のものかスマートウォッチであれば自動で調整される。車の時計も新しい機種だと勝手に修正されるようになってきているので、時計を手で直すのはそうした機能のない時計を 2,3個程度だった。まあ古い自動車の時計などは直されないままシーズンを超えたりすることもあり、時計合わせが必要な時計は面倒だったのは間違いないが、言うほど大した手間ではない。

春のDST(時計が進む)は睡眠時間を1時間奪われるので確かに厄介なのだけど、そもそも米国内でもタイムゾーンをまたぐ出張をすると1時間どころか2時間3時間の時差調整は発生するので、個人的には慣れたものであり例によってメラトニンで解消するようになってからは大したダメージはなかった。ただ子供など家族は 1週間くらいは朝起きるのが辛そうにしていた様子はあった。

ちなみにDSTの切り替え日にITシステムの特別保守を取るようなことは個人的な観測範囲では全くなかった。2007年のDST期間延長時などにはあったのかもしれないが、毎年のDST切り替え日はサポートもオペレーションも注意は払うものの、なにか特別な事前準備や当日の体制強化をするなどは記憶にない。

結論と言うほどではないが

そんな感じでDST・サマータイムは個人的に好きだし悪影響ばかりというわけではないし日本でも導入すればいいのにと思っている。現在の情報システムが運営する社会に置いて時計を動かすことは簡単ではないのは承知なので、それなりの時間とコストをかけて準備しつつ、生活上の問題はまあそういうこともあるよね、と流せるような社会を目指すのもいいかもしれない。

Permanent (Year-Round) Summer Time と言う選択肢

ちなみにEUがサマータイム廃止に舵を切ったことも契機なのだろうが、最近は上のフロリダの話でも書いたような Permanent Summer Time と言う話も目立つようになってきた。つまり1年ずっと夏時間にしようという話で、現実的にはタイムゾーンを1時間分丸ごと動かす話と等しい。これだと冬の朝がどうしようもなく暗くなるというデメリットはあるものの、サマータイムの最大の問題である「年に2回 時計をずらす必要がある」問題が解消され、社会コストも健康リスクも回避される。これも日本でも検討したらいいんじゃないかなあ。

 

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