長い米国生活を終えて日本に戻ってきて感じたこと

Posted about 4 hours ago by yoosee.
  japan usa life

想像していたよりはかなり長い期間を米国はフロリダで過ごし、最近になってようやく日本に戻って暮らし始めたので、初心を忘れないうちに日本生活の印象というものを書き留めておく。まあ簡単に書けば、いい国だよねやっぱり。

Japan

何を食べてもうまい

うまいよね。出張でちょくちょく帰ってきては暴飲暴食を繰り返していて食べたいものを食べつくすために1日5食食べるスケジュールを立てて2週間で3kg太って帰った頃もあるくらいなので外食がうまいのは知ってたけど、その辺のふつうのスーパーで買ったワンパック500円の刺し身だの惣菜コーナーの揚げ物だの煮物だののレベルでもうまい。ほんとにうまい。コンビニで買ったおにぎりですらうまい。唐揚げと明太子は悪魔の罠だと思う。やばい。

日本酒がうまい

うまいよね。世界一うまい酒だと思う。米国にいるとワインは安いのでさんざん飲みたおしたし週末に安いスパークリングワインをあけるのは素晴らしい楽しみだったし米国の地ビールの豊富さと旨さもあれは代えがたいものがあったけど、なんというか日本にいて刺し身や焼き魚をつまみに日本酒を飲むのには勝てないなあと。あくまで個人的嗜好だけどな。なお米国も最近は米国醸造の日本酒というのが出回り始めててそこそこ飲める味になってきてたが、地酒の多彩さは流石にどうにもならん。

野菜がうまい

うまいよね。米国にいるとそもそも野菜を食べるのなんてサラダか根菜くらいしかなくて、そのサラダも肉やチーズやベーコンがたっぷりのっていて野菜だか肉だか分からんものだったけど、よく考えるとあんなに野菜を取らずによく生きてたなあと思う。日本で食事をするとサラダに限らずおひたしだの煮物だの炒め物だの野菜が主役で野菜を食べるための料理が豊富でほんと素晴らしくておいしい。

菓子がうまい

うまいんだよ。とくに甘いものの旨さが素晴らしすぎる。Henri Charpentier のショートケーキとかモロゾフのプリンとか吉兆庵の陸乃宝珠とか福砂屋のカステラとかは言うに及ばず、コンビニで売ってる数百円のデザートですら至福の味である。1ダース100円のチョコレートすらうまい。これはまじ太るので危ない。

店員が丁寧

あそこまで丁寧なのが必要なのかと言われるとどうなんだろうとは思うけど、別に悪いことではないし気分は良い。とは言え流石に朱肉をひとつ買っただけで店から出るまでずっと頭を下げておじぎを続けるのはやりすぎだと思うんだ、某百貨店内の文房具屋さん…

安全で安心

いい年のおっさんだからというのもあるけど夜道を一人で歩いていてもそうそう危ない目に合う気がしない安心感。ちいさな子供が一人で学校に歩いていける安心感。電車で眠ってしまってもそうそう財布を抜かれたりしない安心感。

米国で住んでいた地域はかなり治安のよいまちだったし、米国生活も長かったので危険の避けかたも分かっていたつもりだけど、外国籍で母国外に住むというのは生活の端々に違いとリスクを抱え続けるということであって、日本の生活に戻ってから「ああ米国にいた頃は生活の細かいレベルで気を張っていたしストレスがあったんだな」ということを自覚した。

でも通勤電車だけはダメだ

あれはいかん。別に車通勤じゃなく電車で立っているとか歩くとかそういうのはいい。いかんのはあの混雑だ。あれは人間の尊厳を損ない日本人の幸福度をみるみる下げ生活者と地域の断絶を招き過程を崩壊させ日本人から寛容の心を奪う。まあ、引っ越すなりピークタイムを避けた通勤をすればいいので個人の選択ができるだけマシな問題ではあるんだけど、とは言えなんとかならんのかね。

などと最後に愚痴は書いたものの、全般的には食い物が美味しくて人当たりがよくて命の危険を感じずに生活できるというのはやっぱり素晴らしい国だと思うのですよ。ほんと。

 

Surface book レビュー - 高級感と個性にあふれる次世代ラップトップ

Posted 28 days ago by yoosee.
  laptop microsoft

Surface book レビュー

仕事用に Surface book を使い始めたので軽くレビューする。シンプルかつシルバーを基軸にしたデザインは剛性も高く高級感があり、見た目には周りの人からの評判もいい。重量が1.5㎏強と今どきのモバイルラップトップとしては重いが、タブレット部の分離やペンの利用などでユースケースが色々とあり、使い勝手は個性的で面白い。

Surface book

包括的なレビューは既に様々なサイトにあるだろうから、ここでは個人的に気に入った点や気になった問題などを記載しておく。全般的には個性含めて満足はしている。

デザイン・キーボード・インターフェイス

本体はほぼすべてがシルバーの金属仕立てですっきりしたデザインだ。キーボードは十分に広いキーピッチとラップトップにしてはそこそこのキーストロークがあり、キータイプでは特にストレスを感じない。英語キーボードモデルがないのが個人的には辛いところだが。なお本体はディスプレイ側なので、CPU利用率が上がってもキーボードやキーレスとは熱くならない。金属製なこともあってむしろ常にひんやりしている。

外部インターフェイスはドックアダプタにもなるマグネット着式の電源コネクタ、USB x2、SDスロット、mini DisplayPort という構成。新モデルの構成を見ても何故か USB-C / Thunderbold 3 は搭載されていない。Microsoft のポリシーなのだろうか。

性能

GPU非搭載で Intel i5 の機種を買ったが、オフィス仕事に使う分には特に問題は感じない。とは言え SSD 128GB と RAM 8GB は仮想マシンを走らせたりすると足りないので、GPUの有無を含めて上位構成機種を買ったほうがストレスは無いだろう。しかしこの手のラップトップは最上位構成に近いものでないとRAM 16GB搭載がないというのが辛いところ。CPUよりRAMが欲しい。

サイズと重量

大きな特徴のひとつである、分離可能なディスプレイによるタブレットモード。ディスプレイ側が本体であり、キーボード側は追加バッテリーや各種外部端子、モデルによってGPUが搭載されているのみ。そのせいもあって重量バランスは普通のラップトップとは違い、ディスプレイ側がかなり重い。本体サイズと重量は以下。

  • タブレットのみ
    • 重量:726g
    • 寸法:312.3×220.2×7.7mm
  • キーボード一体時
    • 重量:1,515g(GPUなし)/1,579g(GPUあり)
    • 寸法:312.3×232.1×13~22.8mm

重量1.5kgは今どきのモバイルラップトップとしては少々重く、サイズも13インチを超える程度に大きめで、後述するようにヒンジ部が膨らんでいるので多少かさばるため、持ち歩きがメインならば別の選択肢もあるかとは思う。

キーボード側とディスプレイ側が大体同じくらいの重さになっていて、普通のラップトップとは重量バランスがかなり違う。キーレスト部分を持ち上げようとすると、おっ、と思うくらい重く感じる。とはいえ膝の上において使うときなどでも重量バランスが画面側に倒れるなどはないので、使い勝手自体は普通。

タブレットのみだと 7.7㎜ なのでまあまあの薄さだが、Surface book の謎デザインである丸く膨らんだヒンジ部があるおかげで、畳んだ時のサイズが薄い側は13㎜なのに厚いヒンジ側は22.8㎜もある。オフィスの中を持って歩く程度なら丸くて厚みのあるヒンジはむしろ持ちやすいが、外出時の持ち歩きには少々気になる重さとデザインではある。

ディスプレイとタブレットモードとSurface Pen

ディスプレイ解像度は3000x2000と、高解像度だがラップトップとしては変則的。3:2のアスペクト比はA4など印刷物の √2:1 ~ 2.82:2 に近いので、書類などを表示させると無駄な余白が少ない分だけ読みやすい。当然ながらタッチスクリーン。本体からの切り離しはタスクバー上のアイコンかキーボードの専用ボタン長押しで行う。着脱は容易ながら、取り付けた際のぐらつきや不安定感は感じない。

手書き入力やスケッチのために付属する Surface Pen は磁石で本体の横に貼り付けておくことができるので、ペンと一緒に手軽に持ち歩いてふとした思いつきを手書きできるのはなかなか快適だ。もっともそれなりに強力とは言え磁石なので外出中などに油断すると外れて無くしそうな不安が少々残る。

画面を切り離したタブレット利用は、画面を手元に持って資料を読んだり、資料を読みながらペンで手書きの注釈を入れたり、ペンで落書きをしたりと閲覧やペン書きをするときに使いやすい。ノートを手元に持って読み書きする感じになる。ペンの書き心地も描画の追従がそこそこ早いので特にストレスは感じないし、ペンのノックを2度クリックするとメモモードが立ち上がるなど、手書きの気軽さをうまく取り入れていると思う。

なお仕事用なので試していないが、画面が大きめなのとアスペクト比が書籍向きなので、Kindle などで本や雑誌を読んだりするのにも向きそうだ。

Surface dock と外部機器との接続

デスクではSurface dockと繋げて使っており、DisplayPort 経由で外部ディスプレイのASUS PB287Qを繋ぎ、問題なく4K出力できている。USB経由でキーボードなども繋げている。

Surface dock and pen

Dock と本体の接続はマグネット付き端子をペタッと付けるだけなので簡単で、ケーブル一本の接続で電力と外部ディスプレイ、USBキーボードの接続まで完結するのはかなり便利。

Thunderbold 3ないしUSB-Cを搭載した機種でも同じようなことができるが、現状必須な電力ワンケーブルのみで全ての接続が終わる仕組みは利便性の点では素晴らしいと思う。まあ過去のDellラップトップでもガチャっとはめ込む背面ドックで実現していたことではあるが、マグネット接続の電源ケーブルだけでOKなのはそれと比べても手軽感があってよい。

顔認識

Surface book以前にWindowsの機能だと思うが、セットアップ時にフェイスカメラで顔写真を撮影することで顔認識によるログインができる。PINやパスワードを打ち込まずに画面の前に顔があるだけでログインされるのはストレスなく快適だが、ただこれ写真などで代替できてしまったりはしないのだろうか。流石にそこまで脆弱ではないと信じたいが。

癖のある点

タブレット側にインターフェイスがほとんどない

切り離したタブレット側にはUSBやDisplayなどの拡張スロットは全くない。電源ボタンとボリュームキーのみ。外部機器とつなぐ際はBluetooth接続のものを選べば切り離し時も継続して使うことができるわけだが、その他の、例えば外部ディスプレイやUSBキーボードにつなぐなどができない。

ただキーボードとタブレットの接続端子は充電・Dock接続端子と同一なので、Dockを用意しておけばUSBやDispkayポートへ拡張することはできる。タブレットとのケーブル接続は持ち上げたりすると不安定なのでどこかにおいて使う感じになると思う。Dockも安くないので手軽に使えるソリューションかといわれると微妙だが、外部ディスプレイの利用を含めてタブレット部のみを持ち歩いた際でも選択肢があるのは良い。

SDカードスロットでディスク容量を拡張した場合の注意点

SSD搭載ラップトップによくあることとしてディスク容量が不足しがちなので、日常使わないSDカードスロットに BaseQi iSDA 高精度 アルミニウム製 MicroSD カード アダプター (Microsoft Surface book 13.5") を入れて microSD で容量拡大してみたが、このSDスロットはキーボード側にあるため、タブレット分離させた際に本体から取り残される。

単にそうした使い方が想定されていないだけなのだろうが、そうして使ってしまっている身からするとファイルの置き方に少し頭を使うことになるのがちょっと厄介ではある。

キーレストのエッジに磁石が入っている

この形状で上蓋をきちんと閉じた状態にするための都合なのだと思うが、キーレストのエッジ部分に磁石が入っているようだ。だからなんだという話なのだが、普段使っている Pebble Time Round のミラネーゼループ腕時計バンド の磁石部分がくっつくのが地味に厄介ではある。

利用中のトラブルと解決

Dock経由のDisplayPort接続で画面が表示されない問題がでた

利用開始当初、Dock経由のディスプレイ接続時に画面がディスプレイ側に出力されない事が多々ありストレスをためていた。ディスプレイ自体は対応機種だったので何が悪いのかと思ったが、公式の Surface ドックおよび Surface ドッキング ステーションのトラブルシューティング に従い Microsoft Surface Dock Updater (Surface) からDock自体のファームウェアをアップデートしたら問題の発生はかなり軽減した。

Bluetooth Mouseを接続・切断して使っていたら動かなくなった

席にいるときは Bluetooth Mouse を使っており、打ち合わせや外出で離席して戻ってくるとマウスが全く反応しなくなりBluetoothデバイスを削除して再ペアリングしてもマウスとして認識されないという問題が出た。結局これはどうやらSurfaceではなくWindows 10の高速スタートアップ機能の一般的な問題だったらしく、当該機能を無効化したら解決した。

このあたりの問題はそのままなら相当ストレスになっていたと思うが無事に解決できたので現状特にそうした問題はなく使えているし、使い勝手自体にはなかなか満足している。自宅で使っているXPS13が正統派モバイルラップトップの一つの完成形だとすれば、Surface book は次世代ラップトップへの可能性を示しているのではないかと思う。

 

最近流行っている「スピナー」というおもちゃ

Posted about 2 months ago by yoosee.
  edc toy

スピナーが流行っている。

と書けば懸命な皆さんは既にああまたかとお思いだろうがEDC界隈の話である。Fidget Spinner ないしハンドスピナーとも呼ばれるが、それがなにかと言われれば指でつまんでスピンさせるオモチャであり、特に発電したり指が鍛えられたりなどの役に立つことはない。中央部にボールベアリングが入った回転部分があり、そのあたりをつまんで周辺部を勢い良く回すことで回転させ、グルグル回るさまを楽しむものである。スピンさせてどうというものではないのだが、あれだ、ペンを指のうえでグルグル回す手遊びがあると思うが、ああいうものであり、結構楽しい。

Fidget Spinner

2年前くらいからEDCの写真に一緒に写っている Torqbar を見かけるようになったのが個人的な初見だが、最近は本当に流行っているらしく、少なくとも Amazon.com で spinner を検索すると100を超えるバリエーションが出てくるし、40 Best Fidget Spinner / Hand Spinner Toys to Buy or DIY | All3DP なんていう記事も出るほど。ベスト40て。昨今では Amazon.co.jp でスピナーを検索 してもそこそこ出てくるので、日本での入手も難しくないようだ。

最近では学校での利用を禁止した (Fidget Spinners: Schools Banning New Toy | Money) というニュースもあるくらいで、5ドルくらいの安いものが出てきたこともあり、特に子供には流行っているらしい。うちの子らもたまに貸すとグルグル回して遊んでいる。

手元には3種類ほどのスピナーがあるが、概ね値段と品質が比例している。

動画の左から順に下記のスピナーだが、EWRで約2分、TI-EDCで3分弱くらいは回転している。ebayのものは30秒程度で止まるし、質感もチープだ。

作りが単純なこともあって最近は安いモデルも出回っているようだが、ベアリングの質や中央からの重心バランスなど多少は品質を左右する要素もあるので、興味を持たれた方は評価の高い、最低でも2分以上は回るものを選ぶのがよろしいかと。

 

野生で餓死しないためのクレジットカードサイズのサバイバルツール READYMAN Wilderness Survival Card

Posted 3 months ago by yoosee.
  edc cardtool

日常持ち歩くという観点からツールの形状を考えた時に、クレジットカードの形状にして財布に入れておくことを考えるのはひとつのジャンルとして存在していて、いろいろな種類のツールがある。その中でもちょっと代わった使い切りのサバイバルツールが READYMAN Wilderness Survival Card だ。今だと新しいバージョン 2.0 だが、基本的な内容は同じのようだ。

READYMAN Wilderness Survival Card

厚みはごく薄くて 0.5 mm 程度、財布の中にも簡単に入れておける。むしろ薄すぎるので折れたり曲がったりしないような注意は必要かもしれない。とは言え取り外した後のツールは硬質なステンレスで、そこそこ実用的な強度はありそうだ。

サバイバルカードと言う名前だけあって野生でのサバイバル向けの道具がカードに埋め込まれているが、傾向としては食料調達に使う道具が多い。サイズは小さいがノコギリや、実際に役立ちそうな普通の針と釣り針、矢じり、また木の先につけて槍を作る槍先などもついている。他のツール類は普通ナイフや栓抜きやナット回しなどであって狩り用の道具は少ないので、これを持ち歩いても機能的には他のツールとあまり重複しない。

このツールを実際に木の枝や棒に取り付けて矢や槍として使えるかを試している動画もあって、ちゃんとセットアップすればそれなりに使えそうである。まあ、もちろん、普段の生活でこんな道具が必要になることはほぼ無いのだろうが、まあそこはロマンというものである。

なおこの READYMAN というメーカーは他にも何種類かこうした薄いスチールカードのツールを作っている。

Survival Card – Readyman Store

例えば Hostage Escape Card は鍵開け用のピックや金属ノコギリが組み込まれたカードだが、実はこちらのほうが都市部でのサバイバルとしてはまだ役に立つ機会があるかもしれない。そんな機会には見舞われたくないものだが。なおこちらも実際に試してみたという動画もある。

そもそも現代日本ではこんな狩猟道具やピッキング道具を財布に入れて持ち歩くのはあまりお勧めは出来ないというか、警官に見つかれば軽犯罪法に問われそうなツールではあるが、とは言えこんなものを財布に入れているとは誰も気づかないだろうなあというツールでもある。ああロマン。

 

コミュニケーション能力を最重要視するのは企業組織にとっては敗北でしかない

Posted 3 months ago by yoosee.
  business

多くの日本企業では採用時に最も求められる能力に「コミュニケーション能力」が挙げられる。確かに大切な能力なのは間違いないのだが、業務を遂行するには他にも様々な専門能力が必要で、個人的にも採用時には仕事に応じて様々な能力を求めることもあり、コミュニケーション能力ばかりが重視される状況には違和感があった。そもそも本当にそこまで組織内の皆が皆にコミュニケーション能力が必要なのであれば、それは組織デザインを失敗しているということではなかろうか。

過去に上司だった Sr. VP(上級副社長)は幾つかの企業で幹部職を渡り歩いた人で、組織運営というスキルにおいて相当なプロだったので、色々なアドバイスや知見を聞かせてもらった。そんな彼から聞いた組織論で一番記憶に残っているのはこんな話である。

企業の組織というのは、組織の内で最大限の工夫が出来るように作るんだ。組織が何かをやりたい時に別の組織と大量の調整をしないといけないのであれば、それは組織の作り方が間違っている。

組織トップの権限内で業務の最適化が可能なら、物事を決めていく際に外部との余計な調整が不要になる。これは仕事を迅速に進めるのに必要不可欠なことだ。裏を返せば「何かを決める時、特に新しいことをしたい際に調整という名のコミュニケーションが大量に必要になると物事が進まない」ということでもある。特に「決める人」は少なければ少ないほど決断は早くなり、必要なコミュニケーションの量は減り、その分だけ余計なコストが減って迅速なビジネスが可能になる。実際に米国企業は基本、そうしたトップダウンの組織構造が前提になっている。

これは大きな組織構造の話だけではなく、チームの単位でも同じことが言える。チームとしての役割がきちんと決まっており、それに必要な権限が与えられていれば、コミュニケーションの多くはチーム内で完結する。当然、チーム内の個人同士でも同様の役割分担がきちんとされていれば、コミュニケーションの必要性はさほど高くなくなる。

企業の目的とコミュニケーションの役割

そもそも一般的な「企業の目的」を考えれば、非常に大雑把には商品やサービスを生産し、それを販売する対価に利益を得ることだろう。企業活動は最終的な売上と利益を生むために費やされるべきであり、つまり製造と販売が主な役割を持つ。

ほとんどの業種においてコミュニケーション自体はなにも生産しないし販売もしない。コミュニケーションは目的を達成するための手段を補助する付帯手段であり、端的には、コミュニケーションは金を稼がない。極端な話をすれば、特定職種を除き、コミュニケーション能力だけが突出した人を100人集めてもお金は稼げないということである。

これはコミュニケーションが不要という話ではない。企業において社内外と円滑に業務を進めるにはコミュニケーションは必須であり、その能力は企業人に求められる汎用スキル単体の重要性としてはトップレベルに重要なのは間違いない。ただしそれはあくまで手段としての重要性であり、「利益を生み出す」という企業活動に直接は貢献しないことを意識すべきだ。

まあつまり、例えばなにかの商品を世に出そうというときに、商品開発や製造、販売の準備などではなく、上司やその上への説明用パワーポイントに膨大な時間をつぎ込み、権限が散らばっているあちこちの部門に決済を持っていって了解を取り、全ての可能性と候補を検討対象とし、関係者すべてを集めた何十人での会議を何度もひらき、なんてことをやっていたら流石に無駄じゃないの? という話である。

利益を直接生み出さないコストがあるならばどうするか。当然それは最小化されるべきである。

コミュニケーションの最小化を考える

報告のイラスト - いらすとや

コミュニケーションが必要不可欠な、しかし生産や販売に直結しないコストならば、考えるべきは効率を最適化しつつコストを最小化する事だ。つまり最初にコミュニケーションが最小で運用できる業務プロセスや組織構造を考えるべきであり、それは本来経営者として非常に大事な企業組織のデザインという仕事である。

採用や育成においてコミュニケーション能力を最重要視するということは、つまり利益を生み出すためのオーバーヘッドコストが大量に必要な企業構造になっているということであり、それを是として個々人の努力でなんとかしようというのは、企業組織のデザインとしては敗北でしかない。

トップダウンが基本の米国企業ではこれはまだしもわかりやすいが、中間管理職からのミドルアップが多い日本企業ではデザイン自体が難しい面はある。とは言えこれをきちんとしないとコミュニケーションというコストはいくらでも膨れ上がるし、それは一番大事な「人間の時間」というリソースをいとも簡単に消費し尽くす。

企業活動においてコミュニケーションは必須であり重要なものなのは間違いないが、一方でそれは可能なかぎり削減し、最小化すべきコストである。冒頭のコメントに戻るが、そのために考えるべきは、組織が、大きいレベルから小さいレベルまで、自己完結での工夫ができるかどうかが一つの観点になるだろう。