2016年後半に販売されたPSVRをもって「VR元年」とか言っていたのが去年の年末なので「VR2年目」としてそろそろ丸1年が経過しようとしているというややこしい状況なのだけど正直に言ってVRがガンガン発展した一年かといわれると難しい感じであった。
うちも例に漏れずPlaystation VRをPS4 Proと一緒に購入して遊んでいるが、正直に言えば期待ほどじゃなかった。PS4 Pro の方は FF15, ドラクエ11や Horizon zero dawn 、Just Dance などVRではないゲームも遊んでいるので買って無駄だった感がないのは幸い。
個人的なPSVRへの不満はほぼ解像度が足りないに尽きる。他にも操作性の問題などもあるがこれはPSVRそのものよりはゲームによる部分も大きい。ケーブルの取り回しやヘッドセットの装着も面倒だがこれも我慢できないことはない
(なお置き場所も結構困るのでPS4/PSVRスタンドなどを買うのをお勧め)。致命的なのはやはり解像度だ。
PSVRの解像度は1920×1080だが、この手のヘッドセットの性質として片目ごとに半分の横解像度が必要なので実質的な解像度は960x1080ということになり、横解像度がちょっと前のPCモニタより低い。これは別にPSVRが特段劣っているわけではなく、同時期の Ocurus Rift や HTC Vive も解像度 2160×1200 、片目当たりの横解像度が 1080 なので大差ないのである。TVやモニタが 4K で横3840 pixel が普及している現状でこの解像度の低さは辛い。
実際にゲームをプレイすると、この解像度による向き不向きが強く出る。つまり高解像度を要求するような自然の風景などのオープンワールド表現や隣接距離の人物表現などは鮮明さに大きく欠ける。VRに期待する臨場感を実現するには現状のスペックは足りてないのである。
この制約下で楽しめるゲームは何かといいえば、ひとつは「初めからポリゴンやワイヤーフレームで構築された世界」だろう。代表的な名作が Rez Infinite 。
これはPSVRを買ってよかったと思える名作で、めくるめく仮想空間を浮遊する爽快感というか異世界感というか、現実じゃないところにいる感覚が素晴らしい。特に Area X の浮遊感は格別。また操作もコントローラーに頼らず視点移動で済ませるあたりがまた遊びやすさと没入感をサポートしている。PSVRを買った人なら必ず遊ぶべきゲームと言っていい。
もう一つのカテゴリが「探索先が薄暗いので解像度の低さがごまかしやすい」ゲームで、代表としては Biohazard 7 Resident Evil だろう。
ただこの手の脱出系VRにはゲームデザインとして別の問題が出ており、端的には「そんなに逃げたいならそこの窓を割って逃げればいいじゃん!」という、VRという環境において、現実世界とゲーム的なお約束の間にあるギャップを強く感じてしまうのだ。「鍵がなくてあかないじゃないよ木の引き出しなんて手元のバールでこじ開けろよ」とか、逆に「よくこんな首まで深さがある汚水に躊躇なく立ち入れるな…」みたいなのがいちいち気になりだすとゲームに集中できなくなる。
とは言え暗闇から突然襲われる感覚やゾンビに斧で切りかかられる恐怖感や、ギシギシ音を立てる洋館の地下へ踏み入れていくと後ろから怪しいオヤジに頭をかち割られるとか俺は前世でどんな悪行を積んだんだと愚痴りたくなるくらいの臨場感はやはりVRならではのものだと思う。
オープンワールド系だと例えば The Elder Scrolls V: Skyrim VR なんてものも出ている。
これは最初に書いた通りで解像度の問題が出ていて、プレイ動画を見てもらえばわかるレベルで明らかに描画の粒度が足りないし、また操作がすごく難しい。Skyrim で操作が難しいってどんな地獄だよ。VRとオープンワールドの相性の良さ自体は味わえるし、Skyrim の世界をVRで歩き回れるのは快感ではあるのだが…。
また別の方向性として サマーレッスン:宮本ひかり みたいなものもあるわけだが、これも解像度の問題があると共に、ゲームのつくりとして人物のリアルな描写というのがきちんと作りこまれていないなあという残念感がある。その辺りは将来的には改善されていくのだと信じたいが。
そんなわけでVR元年が明けて2年目となった2017年だったが、圧倒的な飛躍というにはちょっと物足りない1年だった。とはいえVRが世界を変えていくことはどう考えても明らかであり(例えば超高解像度で内部でPCモニタも再現できるくらいのVRがあれば事務仕事であれば物理的なオフィスは不要になるわけである)、2018年のVRさんの活躍に期待していきたい。それはともかくPSVRももう少し良いタイトルが増えると嬉しい…。