日本に戻った時にほぼ必ず寄る店がある。他の在外邦人にも同じ人がいそうだが、それは東急ハンズであり、特に文房具コーナー。時間が許せば鳩居堂、ITOYA あたりも一回りする。だいたい年に1,2回程度日本へ帰国しているが、その度になにかしら新しい文房具が出ているのを見るとちょっと感動する。
単なるボールペンにしたところで、書き味の滑らかさを追求した JetStream は米国人におみやげに頼まれるほど素晴らしい筆記体験であり、遂には米国のスーパーにも普通に並ぶまでに普及した。私も他メーカーのボールペンの替芯に JetStream を入れて使うなんてこともしている。
個人的には使わないが、ここ数年はこすると消えるフリクションボールペンが新しいジャンルを切り開いて盛り上がっている。筆圧によって線の太さを変えられる水性ボールペン uni-ball Air というのもあって、これはインクが滲んで実用にはちょっと難しいのだけど、ハネトメがペンで表現できる書き味はボールペンと万年筆の間くらいの面白さがある。
ここ何年かはシャープペンシルの進化もすごい。書いていると自動的に芯が回転して常に尖った面で文字を書けるクルトガが出たと思ったら、斜めの圧力も逃がすことでほぼ芯が折れずに書けるデルガードなんてものも出ている。元々日本のシャープペンは海外のそれに比べて芯の質が良いのでそんなに折れないのだが、それをさらにメカニカルに折れなくする機構を組み込んだり、「いつでも尖ったほうで書けるよ!」なんて機能を盛り込むなんて言うのは日本らしい技術の使い方だなあと思う。また併せて買ったペン型消しゴム は前からあるのだろうが地味に便利である。なにより日本の消しゴムはよく消える。
今回ウキウキしながら買ったのはベルヌーイカーブで切れ味 3倍、チタンコーティングで100万回使っても切れ味が落ちず使えるハサミである。たかがハサミされどハサミ、確かにこれは前に持っていた普通のハサミと比べたら切る時の力のいらなさ加減が面白いほどだし、チタンコーティングのお陰かガムテープ等粘着質なものを切っても刃がべたつくこともあまりない。しかし100万回て。ついでにキッチン用洗えるチタンハサミも買ってしまったが、キッチンハサミは確かによく錆びるので、錆びずに水洗いできるだけでも大変ありがたい。
他に最近買ったものだと立ててペンスタンドになるペンケース や 黒いので裏に書いた文字が透けてじゃまにならない下敷き 、押すと真ん中のゴムが接地して滑らなくなる定規 、資料を打ち込みする時に便利なカール クリップスタンドなど、よくまあいろいろと思いつくものだ。
糊ですら進歩を続けていて、ペン型でピンポイントの糊付けができるアプアピット 液体ペンのりや、手を汚さずに気軽に封をしたり貼り付けをしたりするのに使えるテープのり ドットライナーなどが出てきている。のりもこれくらい気軽に使えると、セロテープを使うより便利なことも多いので、利用シーンを結構変えてくれる。
まあ全てが全て素晴らしいというわけではなく、例えば定規はコンセプトは面白いのだけど、押した際にゴムの伸縮の分だけ定規の場所が動くので「ずれないとはなんだ」とか微妙な点はあるのだが、そうは言っても1つ数百円からせいぜい千円程度でこんな面白いものが手にはいり、行く度になにか新しいものが出ているというのは、ほんとに日本人というのはこうしたこまごましたものになにかしら工夫を続けないで入られない国民性なのだなあと、その情熱を愛してやまないのである。